発達障害のせいでうつなときのアスペルガー・ADHD的ストレス対処法
「発達障害なわたしたちだからできること」を見つけるまでストレスや疲労と戦う方法とは
【こんなことが書いてあります】
・発達障害にうつが多いのは、ストレスや疲労に弱いのではなく、ストレスや疲労をたくさん溜めてしまう脳の使い方が原因
・アスペルガーは「他人の感情をイメージ」することで右脳を短期間に鍛えられる
・右脳と左脳のバランスを取って脳を統合することで、ストレスや疲労をためない脳をつくる
朝の通勤路。
やっとの思いで自宅を出たものの、駅へ向かう足がなかなか前にすすまない。
はぁ・・・仕事行きなくない・・・
あの仕事、着手できないうちにもう期限が近付いてる。
どうしよう・・・もう無理だ・・・
ヒイコラ言いながらなんとか駅までたどりついたわたし。
しかし、足は行くべき方向へ向かわず、会社とは反対へ行く電車に乗り込んでしまいました。
もう逃げるしかない。
・・・こうして一時のストレスから逃れるために、また会社に行きづらくなる理由がひとつ増えたわけです。
そもそも疲れきって朝起きられないこともたくさんある。
こんなことでこれから先、どんな仕事をしていけばいいんだろう?
障害者向けの求人を電車内でむさぼり読む毎日。
どんな仕事に就いても続かないかもしれない不安。
そもそもこの金額で生活していけるわけないし・・・
このハンパではない行き詰まり感。
それが、自分が発達障害だと分かる前、そして大人の発達障害(アスペルガー・ADHD)が発覚してしばらくまで、ほんの2年くらい前までのわたしでした。
発達障害(アスペルガー・ADHD)とストレス、うつの関連とは
具体的な経緯はこちら(大人のアスペルガー・ADHDの生き方例①)のシリーズでも紹介していますが、今回はもう少し突っ込んでお話ししたいと思います。
わたしの場合、調子の悪い時はもちろん日曜日の夕方以降もゆううつでしたが、とにかく疲れやストレスがたまると朝まったく起きられなくなる症状に悩まされました。
なぜわたしはこんなにストレスに弱いんだろう?
どうしてすぐうつっぽくなってしまうんだろう?
とずっと考えたところ。
これはいろいろな本を読んで得た知識と、いまの仕事で残業がかさんだり強いストレスにさらされても朝起きられないことがなくなったことを踏まえての核心に近い推測ですが、右脳と左脳をバランス良く使えていないという状況が、かなり脳疲労・ストレスを溜める原因になっていたということ。
(たとえば外部にはこんな記事もあります。Neverまとめより)
かんたんに言ってしまうと、右脳と左脳の発達バランスが偏っているわたしたち大人の発達障害者は一般の人よりストレスに弱いのではなくて、日々生活しているだけでも一般の人が受けるストレスに比べてはるかにたくさんのストレスや脳疲労を溜めている、ということです。
わたしの推測では、程度にもよりますがだいたいその差は約10倍。
10倍違うっていうことは、とんでもないことです。
毎日普通の人が7~8時間働いて溜まる疲労が、わたしたちからすればもう午前中にはそれをはるかに超えた量溜まっているという計算になります。
これではお昼休みに人と一緒に食事をする余裕もなくなりますよね。
ゆっくり1人で休憩しながら食べたいのに、そうさせてもらえない・誘いを断れないわたしたちアスペルガー・ADHDには非常に厳しい現実です。
仕事ですぐにうつっぽくなってしまうのも簡単に理解できます。
発達障害うつの対症療法と根本改善とは
ではその大人の発達障害を抱えるわたしたちが厳しい現実をどう乗り越えていくか、が今回の核心です。
ここでは対処法を2つに大きく分けてみました。
対症療法・・・溜まったストレス、疲労をどうやって解消させるか。ストレスコーピング(ストレスの元に対処するアプローチ)も含みます。その場しのぎ用。
根本改善・・・そもそもの右脳と左脳の使い方のバランスを改善することで、受けるストレス、疲労を改善する。
もちろん根本改善が望ましいことは言うまでもありません。
ただそうは言っても明日仕事がある人には、すぐに根本から改善することは難しいはずです。
なので対症的な方法も取り入れてこのつらい大人の発達障害ライフをなんとかやりすごしつつ、根本改善に向けてアクションしていければ十分です。
ではまず対症療法からご紹介します。
1.運動する
わたしが把握している限りで最も即効性があるのは軽い運動です。
20分~1時間程度軽くジョギングするだけで、気分が大きく変わります。
継続的に運動することで脳の構造そのものも変えることが可能ですが、ただこれには時間がかかります。
運動そのものに苦手意識がある人もいますし、そもそもそんな時間無いという方も多いと思います。
実際わたしもそうでしたので、運動が万能ではないことは確かです。
週末時間が取れる場合は、ぜひお試しください。
2.本を読む
明日が怖くて眠れないときは、本を読むに限ります。
それも意識の持ち方を変えてくれるような内容がいいでしょう。
好きなジャンルがあって自分が集中でき、時間を忘れて読める本があるならもちろんそれでも構いません。
個人的に一番救われ効果があったのは、「つらいときに支えてくれる言葉」シリーズでもご紹介しましたが、 22世紀的「人生の攻略本」 起こることは全部マル! 3時間で新しい自分になれるワークブック でしたので一応ご紹介しておきます。
このブログで書いているような記事よりはやや根拠に欠けるところがありますが、それでも一部の正しい現実をうまく表現している本です。
3.人に話す
とにかく緊急性があるときは、信頼できる主治医へ診察日に関わらず苦しい状況を話しに行きましょう。
そういった環境にないときでも、webを検索すると各地域や分野に応じた電話相談窓口がいくつかあり、とりあえずつらい状況を人に話すことができますので、うまく利用したほうがいいです。
実際、わたしは深夜でも何度かお世話になりました・・・(本当にありがとうございました)
ただ改善策を教えてくれるわけではないので、とにかく人に話し発散させないとまずいときの手段です。
4.仕事を変える
いまの仕事が自分に合っていないときは、もっと負荷の低い、または自分に合った仕事へ変えてやっていくしかありません。
大手企業であれば、主治医の診断書を武器に産業医を巻き込んで上司にかけあって、仕事配分や内容を変えていくことが必要です。
転職となるとまたパワーが必要ですから、なるべく会社を変えずに仕事が変えられるように産業医と相談してください。
産業医とは遠慮せずにどんどん連携していきましょう。
また職場を変えざるをえない状況もあると思います。
自分に合った仕事、本当にやりたい仕事を見つけるまでは苦しい仕事選びが続くと思いますが、何とか乗り切りましょう。
この場合にはただ自分の特性を考慮した仕事選びをするしかありませんので、他の大人の発達障害者向けサイトや書籍を参考にしてみてください。
とにかく一時しのぎをしながら、自分に合った仕事や本当にやりたい仕事を探しましょう。
当サイトの天職探し関連記事を参考に動いていけば、必ず見つかります。
5.とにかく休む
休みたくても休めない日でも、どうしようも無いときはとにかく休むしかありません。
もちろん職場には迷惑をかけることになりますが、会社や職場が無くなるようなダメージを与えるほど、わたしたちは替えのきかない仕事はできていません。
それが原因で仕事をなくしたとしても、ただそれだけの話です。
もちろん頑張れるときは出勤を続けるべきです。
でも、頑張れないときもあります。なにせ普通の人より10倍もストレスや脳疲労を受けていますから。
少し回復してからあきらめずに動き続ければ、必ずわたしたちらしい人生を取り戻すことができますので、過度に悩まずに前向きに休みましょう。
右脳と左脳のバランスが発達障害ストレス改善のかなめ
次に根本的な脳のバランス改善方法についてお話しします。
以下で説明する内容は、実際にはすでに「大人の生き方3.0」にも組み込んでいるものも含まれますが、よりロジカルに、再現可能性の高い視点でご説明します。
たとえば男性のアスペルガーであれば、日常生活を主に左脳(ざっくり言えば論理的な脳)のみを使って送っています。
本来であれば右脳を使うべきシーンでも左脳で対処していますので、左脳の負荷が慢性的に非常に強い状況と言えます。
なぜそうなったか(なぜ発達障害になったか)については、遺伝的な特性要因もあり、生まれ育ったプロセスの要因もありというところですが、じつはもうそんなこと、自分が大人の発達障害(アスペルガー・ADHD)かも、と認識しているいまは関係がありません。
ただ前を向いて、可塑性(上からまた塗り替えて行く、つくりかえていく)があることがはっきりしたわたしたちの脳の可能性を信じてやるべきことをやっていけばいいだけです。
ではそのやるべきこととは何でしょうか。
引き続き左脳優位のアスペルガー・ADHDを想定して進めていくと、普段使っていない右脳の機能を意識して使ってあげることで強化する、という作業です。
これだけ見ると、この手の話は良く聞くけど本当かよ・・・という声が聞こえてきそうですが(実際わたしがそうでした)。
これ、本当によく効きます。
しかもそれほど長い期間を要せず、効果が出ます。
後から本で読んだのですが、実際にカウンセリングや医療の現場で実用化されている手法だったんです。
わたしはこのロジカルな側面を知らないうちに、いつの間にか読書会を通じて3か月、それも週に1~2回実践していました。
すると徐々に脳のバランスを取り戻していたらしく、いまの仕事に変えてからは残業時間は増えましたがストレスや脳疲労の量が減ったため、朝起きられないことは一度もありません。
わたしがいつの間にか実践していた方法とは、「他人の感情をイメージする」ことです。
偶然にもわたしはこの「他人の感情をイメージする」ことについて、このとき家庭での「育児」と、職場での「上司への成果報告プレゼン作成」、そして読書会における「読みたいと感じてもらえるプレゼン」の3つを同時に並行して実行していました。
他の人が自分の行動・プレゼンをどう受け取るか、を客観的な視点からとらえ直す作業は、主に右脳のイメージ機能を使います。
これを繰り返しやってたところ、いつの間にかお粗末だった右脳の神経が数か月で徐々に発達して、ストレスや脳疲労が溜まりにくい脳に変わってきたんです。
もちろん他にも「描写的な日記をつけるようにする」など右脳のイメージ機能を発達させる手段はあるようですが、わたしの実体験として読書会が有効だったため「大人の生き方3.0」に組み込んでいます。
(描写的とは、ただ「昨日~をした」ではなく、「朝、目が覚めると少しカーテンが開いていて光が布団まで差し込んでいた」「雨上がりの大きな水たまりを避けるように歩きながら、トンカツが食べたかったので駅改札前を抜けて左の階段を駆け下り、2人の主婦が並んでいる肉屋でトンカツを買った」のように表現すること)
逆に右脳に偏りすぎた脳を持っている場合は左脳を意識して使うことで感情が安定してきます。
具体的には、浮かんできた感情に対してその都度言語機能を使い「なぜこの感情が生まれてきたのか説明する」「感情に名前をつける」ことで、バランスを取っていくことができるようです。
意識的な統合とコントロールで発達障害と人生を改善させる
この作業は、他の記事でいろいろと方法を紹介している「自立」作業と並行して進めると効果的です。(「自立」カテゴリの記事一覧へ)
どうやら本来これらの機能は複雑に連携しあって、統合(最も安定している状態)に向かっているからだと理解します。
この右脳・左脳に代表される2極の「統合」=「安定」というのは、この世界のひとつのキーワードです。
発達障害は脳のアンバランスな発達が原因でさまざまな良い側面、悪い側面をわたしたちにもたらしています。
原因はともかく、もうその影響のメカニズムは徐々に解明されてきたといっていいでしょう。
それら次第に明らかになってきた脳や心のメカニズムを正しく熟知して、意識して自分の脳・心・カラダをコントロールしていくことが、わたしたちの人生を取り戻す第一歩です。