発達障害でも行動して生きる勇気と実感を手に入れる
「行動」と「生きる」の関係性を先人に学ぶ
ここで問題です。
生活力の乏しい中年男が、一度別れた妻と芸者との間で揺れ動くさまを親子の情愛を絡めて描いた、市川崑監督、吉永小百合主演による大人の愛の物語。
さて、これだけ読んで反応できる方は映画通です。
正解は「おはん」。
1960年にはドラマになったり、上記のように1980年代には映画化もされたりと有名な物語みたいです。
わたしも名前だけは知っていました。
そんな著名コンテンツの原作は、1947年から10年間、文芸雑誌に連載されています。
完結後国内で大人気、英訳もされて海外にまで出版されたそうです。
そしてこれを書いたのは、女性。
戦後とはいえ、相当なパワーがなければこの時代女性がここまで活躍することはなかったのではないでしょうか。
そのパワフルな女性の名前は宇野千代。
小説家、随筆家、編集者、着物デザイナー、実業家と、多才な行動の人です。
1996年までの約100年間、文字通り1時代を駆け抜けた方です。
行動することが生きることである
わたしは以前の記事で、
「天職を見つけるには行動すること」
「行動が心をつくる」
という事実をご紹介しました。
「行動」は天職探し本に共通するだけでなく、最近の自己啓発書のトレンドでもあります。
実はそんなトレンドを何十年も前に予測(?)して実行していたのが、この宇野千代さんなんです。
行動することが生きることである―生き方についての343の知恵 (集英社文庫)
- 作者: 宇野千代
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1993/10
- メディア: 文庫
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刊行は1988年。
東京ドームができた年。ペレストロイカが始まった日。メガドライブが発売された日。
当然わたしもそのときは行動がどうのこうの言う年齢ではなかったんですが、そのとき91歳の宇野千代さんは人生の後輩に向けて優しくこう言います。
人間には二つの型があるのをご存じですか。
行動型ともう一つは熟慮型です。若いときには大抵の人がこの行動型ですけれど、その中でも私は、何か考えついたら、もうすぐに行動してしまう、行動型の中でも一番の行動型だったのです。
おおっと、多才ぶりといい行動型といい、なにやらADHDな匂いがします・・・
(注:宇野千代さんがその疑いを掛けられてたわけでは全くありません)
さらに目次。
第1章 人生は行動である
行動が思考を引き出す
感動は行動に結びつき、人生を愉しくする
熱中する、夢中になる、何かが生まれる
・・・・
これを見るだけでも、とても30年近く前の本とは思えないですね。
宇野さんは、
「頭で考えるのではなく、手で考える」
「頭で考えるだけのことは、何もしないのと同じことである」
と冒頭で強調します。
このとおり内容も最近の自己啓発書と同じですね。
やはり行動には並々ならぬ何かが隠されているようです。
発達障害は行動で生きる実感を手に入れる
わたしたち発達障害者がこれからどう生きていけばいいか分からないとき、何かの行動を起こすことはなかなか難しいと思ってしまいます。
そんなときは、アタマで考えないでもいいんです。
衝動にまかせていろいろとアクションをとってみてはいかがでしょうか。
自分の生きる道が発達障害のおかけで見つかっていないときでも、日々の仕事帰りだったり週末の何気ない散歩や外出時にアタマを使わないで何かする。
深く考えない。
それもひとつの在り方です。
宇野さんも行動についてこんなように指摘しています。
おかしな言い方ですけれど、あの時は思わずそうした、考える隙間がなかった、と思うほど速い、速力のある行動ほど、「生きていた」と言う感覚が強いのです。悪かったかも知れない、しかし後悔はみじんもしない、と言う実感です。
なんと速力のある行動には「生きていた」という実感付き!
100年生きた先人が100年分の人生を研究してそうだと思っているわけですから、この主張には一定の価値がありますね。
ということで。
『行動することが生きることである』は ADHDの人、男性はもちろん特に女性にはぜひ読んでいただきたい本です。
おすすめします。