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発達障害の「生き方」研究所 | Hライフラボ

転職4回、うつで1年の休職歴あり。30歳を過ぎてADHD・アスペルガーまで発覚した人間が、妻と娘の育児のためにもがいた結果… 「生きづらさ」と戦いながらそこそこ稼ぐためのHライフラボ的・生き方3.0とは?

発達障害人生克服のための人間理解が深まる遺伝子・環境・エピジェネ系新刊が良書な件

発達障害人生の克服は人間のしくみ理解からはじまる

 

【こんなことが書いてあります】

・池袋ジュンク堂で遺伝子、環境、エピジェネティクスに関する新刊を買った

・~2014年など最新の論文の成果を紹介し、最終的には宇宙論にまで踏み込むなど学際的に「人間とは何か」を追求した良書だった

・発達障害者にとってこの知識は非常に有用なので、もっと広まるべき

→「目次」へ

 

 

この金曜日の夜のこと。

 

帰宅途中のJR池袋駅改札へ向かいながら、夕飯を何にしようか考えていたわたし。

 

ふと階段を降りている途中、

 

「ジュンク堂寄ろう」

 

と、なぜかピンと来る感覚があり、混雑の池袋駅を抜けて都内有数の大規模書店、ジュンク堂池袋店へ向かいました。

 

もともと時間があるとここへ寄ることも多いので、特に珍しいことではないんですが。

この日は何か「今日は寄るべき」的な直感が働いたのは事実でした。

 

そしてその直感は正しかったんです。

 

ジュンク堂へ入ってまず心理のフロアで新刊を物色していると、偶然なんと「本の雑誌社」で有名な椎名誠さんが4F奥のイベントスペースでトークイベントをされていました。

 

実はわたしが初めて自分で買って読んだ本が、この椎名誠さんの「岳物語」だったので思わず興奮。

イベント整理券は持っていなかったので、イベントが終わるまで本の物色を続けて、終了後新刊「孫物語」にサインをする列にまぎれ込み、サイン本をGETしました。

 

いやー、うれしかったです。

 

 

で、本日ご紹介したいのはそのサインのとき小脇にかかえていたこちら。

 

性格はどのようにして決まるのか: 遺伝子、環境、エピジェネティックス

性格はどのようにして決まるのか: 遺伝子、環境、エピジェネティックス

 

 

これは日本で新生児出生が最も多いとされる病院、熊本の福田病院で小児科を受け持ち、発達心理学の学際的アプローチを行っている著者による、国内外の多数の最新論文(なんと176ページの本文に対して参照件数約150本!昨年の論文も参照されてます)の知見を著者のテーマである「赤ちゃんの性格がヒトとしてどう育っていくのか」という目的に答える観点から、読みやすく編集された本です。

 

最後には宇宙論にまで展開して、「人間とは何か」についていろいろな視野が得られます。

先月発刊されたばかりの新刊。

 

遺伝子と環境、エピジェネティクスに関しては人間理解に欠かせないテーマですね。

当ブログでもこちら(大人の発達障害の克服に役立ったこと3 ~ 環境認識を変える)の記事でフォーカスさせていただいています。

 

そしてこの本を読んで、きちんとした論文に基づいたさらにいくつかの細かい情報・新しい事実をアップデートすることができました。

 

では改めて、人間の性格・発達や発達障害的な要素が何によってどう影響されるのか、この本の情報を含めて

 

1.遺伝子

2.環境(養育環境)

3.運動

4.食事(腸内環境)

 

の視点で整理してみましょう。

 

 

発達障害になるしくみがわかる人間の発達ロジックとは

 

1.遺伝子

人間の能力・性格などあらゆる要素の約50%が、親から受け継ぐ(少しエラーや変異はある)遺伝子で決まってきます。

 

この50%という数字は、だいたい平均するとそんなもんだよね、程度の数字です。

身長や音楽の才能はもっとたくさん、80~90%の影響があると言われてますし、逆に言語の獲得には20%も影響はないです。

 

肝心のアスペルガーやADHDは、だいたい80%くらいが遺伝子の影響という研究があります。

 

この数字も受け取り方によって実態とかけ離れてしまう可能性がありますので、他の分野と遺伝の影響を比較するときに使ったほうが良さそうです。

 

たとえば、上記でいうと80%というのは身長の遺伝と同じくらいなわけです。

親と同じくらいの身長になるかどうかと同じ確率で、ADHDやアスペルガーになりやすいと捉えるといいかもしれません。

 

 

自分の遺伝子は変えようがありませんから、どんな因子を持つかはまさに自分の初期パラメータと言えそうです。

 

しかし残りの50%次第で、人生は大きく変わります。

自分が自分の人生をコントロールする余地は、おおいに残されています。

 

2.環境

残る50%の影響を与えるのが、環境です。

 

具体例を挙げた方が早そうなので、本書から引用してみます。

 

これらの例から考えると、不利な遺伝子を持っていても、虐待を受けたり、ストレスの多い環境におかなければ、これらの遺伝子の作用はおこらないので、遺伝子と環境は相互に作用していると考えられます。

 

何らかの悪影響を与える遺伝子を持っていたとして、環境次第でその悪影響を与える遺伝子が発現(遺伝スイッチがONになること)しない場合があることを示唆しています。

 

逆に、虐待を受けたことがあると遺伝子的には普通でもストレスに敏感に育ったり、過度に心配性になったりします。

 

これはDNA自体がそれほど短期間で変化していかない代わりに、人間が環境適応のために備えているシステムによるもので「G×E」(ジー・バイ・イー)と呼ばれています。

エピジェネティクスはその有名な一例です。

 

 

G×Eはもちろん環境適応のために有効なシステムですが、これが現代社会では必ずしも良い方向に出ません。

悪い方向に出てしまっている例がまさに精神疾患などだと思います。

 

たとえば上の例でいえば、生まれてきた環境が虐待などストレスフルな環境だったため、ストレスに過敏に反応するようになってしまう、ということがあります。

 

これは過去の前史時代ように、脅威(ストレス。たとえば毒蛇とか?)を敏感に察知したらすぐにその場から離れることができる環境においては絶大な効果を発揮するんですが、社会や家族といったストレス源からなかなか自由に逃れられないわたしたちには逆効果ですよね。

 

こんなふうにわたしたちは人間という古くて新しいシステムを使って生きています

 

 

なおわたし的にこのあたりの新しい知識として特に2つあげておきます。

 

・エピジェネティクスで得た形質は、少なくともそのまま孫までは遺伝していく

例えば虐待されて育ったためストレス過敏になった親に後天的(生まれた後に)にエピジェネティクスで発現した不利益な遺伝子構造は、そのまま子に遺伝する(親が元々持っていた遺伝子ではなく)ということです。

 

・エピジェネティクスで得た形質は、その後適切な薬物投与などで元に戻ることがある

 

 

では逆に、環境が充実した場合はどうなるんでしょうか。

 

神経科学では、環境を充実させることとは「住環境を通常に比べて感覚的、認知的、運動的な刺激を高めること」とされています。

 

充実した環境は、学習や記憶の促進、大脳皮質の厚み向上、不安の減少、病的状態からの回復の促進、ステレオタイプ(紋切り型)の行動の減少など、さまざまな良い効果があるそうです。

 

つまり行動して感覚・認知・運動的に日々刺激を受けるだけで、不安が減少したり病的状態からの回復促進の効果があるということ。

 

ただし・・・この効果を期待するには注意が必要で、必ず誰でもその効果があるわけではなく、それぞれが持つ遺伝子の状況によってその効果の大小が決まります。

 

行動して効果がある人はあるし、ほとんど無い人は無い、と。

こればかりは遺伝子次第なので、出たとこ勝負ですね。

 

 

いずれにしても、今後のさらなる研究が待たれます。

この分野にはどんどん税金を投入しましょう!

 

3.運動

運動をすると、脳の可塑性(変化すること)が活性化されます。

1回の運動につきだいたい2週間、その原因となるタンパク質が増加するそうです。

 

しかも年齢によってその効果に大きな違いはありません。

脳にいいことをしたときは、一緒に運動もするといいということですね。

 

ただしこの効果にも遺伝子の影響があり、効果が大きい人と少ない人があるそうです。

 

 

4.食事(腸内細菌)

これも最近では有名になってきました。

腸内細菌の構成によって、腸から脳へ送る神経伝達物質が変わり、ストレスを受けやすくなったり免疫力が上がったりします。

 

腸内細菌の構成は、遺伝的に何が消化しやすくどの栄養素の消化が不得意、といった要素の影響も受けますし、日常の食事からも大きく影響を受けます。

 

こちらの記事(新しい生き方がひらけていく脳とこころの関係についての知識)でも少し触れている通り、元々生物は生きるための栄養を摂取してナンボでした。

 

その栄養を摂取するために、周囲の環境の情報を得てさらにより好条件な場所へ動くためにあとから発達したのが脳ですから、腸からの情報を脳が得るのは当然といえば当然ですね。

 

 

さらにはアスペルガー症候群も、腸内の異常による炎症が原因ではないかと疑われてきています。

もしかすると糖質(グルテン)を摂取することによる脳の炎症と同じような機序(発生メカニズム)かもしれませんね。

 

糖質やグルテンについて、このブログではこちら(ADHD改善はグルテンフリーとローカーボ(糖質制限)の潮流にあり)の記事で触れています。

 

腸内環境を良くする食事。もっと調べて情報展開したいと思います。

 

このあたり、本書では因子の提起に留まっていますのでこの記事でも多くは触れません。

 

 

環境をコントロールして症状を緩和し人生の主導権を握る

わたしたちにさまざまな症状をもたらし、総称して発達障害と言われているもの。

 

こうして見ていくと、それは人間という古くて新しいシステムが正しく環境に適応・反応した結果と、現代社会に要求される常識とのギャップが生んだ現代病です。

 

更なるメカニズムの特定やどうやって減らしていくのかはもちろん課題ですが。

 

ただ既に日々の生きづらさに苦しんでいるわたしたちがするべきことは、これからの自分の人生からどうやって生きづらさを減らして、よりよいものにしていくにはどうすればいいか考え、実行していくことではないでしょうか。

 

 

以上で整理した一定の事実から、わたしは仮説としていくつかの対応策を生き方3.0として編集してみました。

大人の発達障害を克服した「生き方3.0」とは

 

自立して、環境(認識)をコントロールし、情熱を持てる自分の天職へ就いて目標達成へ突き進む。

 

過去の偉人の生き方や最新の科学的知見を分析した結果、これがわたしたちユニークな特性を持った人間が、幸せな人生・成功する人生を送る秘訣です。

(今後、「運動」や「自分の情熱発見」のプロセスも盛り込む予定です)

 

 

もしいま自分の発達障害(ADHD・アスペルガー)やその疑い、グレーゾーンな特性のせいで生きづらく、未来が何も見えず、苦しい日々を送られているとしたら。

 

これからの生き方のひとつの選択肢として、試してみていただければと思います。

 

 

池袋駅で感じた直感は、椎名さんに会えることではなく、もしかして今日ご紹介したこの本との出会いが待っていることだったのかもしれません。

 

→「生き方」研究所の発達障害改善記事一覧へ

 

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