アスペルガーな人が離婚しないために必要な2つのコミュニケーション知識
アスペルガーが離婚しないために意識するべきこととは
さて、今日もこの記事を自宅のデスクで執筆しています。
デスクは窓際に置いていますが、部屋が北側なのでこれからは寒さとの戦いです。
左ななめ前には、書棚。
ここにだいたい300冊弱と、入りきらないものが書棚の前とデスクの下に200冊くらい。
そもそも記憶力がないのと、メモを取るのが面倒だったり取ったメモを管理できないので、本そのものが記憶の代わりです。
デスクの上には、このノートPCの左側に読みかけや参照したばかりの本が10冊ほど。
昨夜Twitterでご紹介した「偶然を生きる思想」なんかはまだここにあります。
そのまわりには、レシートや、眠気覚まし用ガム、書店で在庫切れだったけど気になる本の検索結果シート(書籍検索端末が出力してくれるもの)、飲みかけのエビアン、空きビン(ファイブミニ)、電源タップ、などなど・・・
まあこのように、とにかく何でも放置するので、デスクの周囲1メートルだけは荒れ放題なわけです。
以前は妻も勝手に片づけたりしていた(かなりキレイ好き、整頓好き)んです。
でもそれをされると、わたしは何がどこへいったのか分からなくなるのでやめてくれーと言い続けた結果、ようやくこの場所だけは少しあきらめてくれました。
ただ…この「見て見ぬフリ」をしてくれる状況に至るまでには、妻とのコミュニケーションは長くておたがい大変な、「忍耐」の時代がありました。
これは、そんな貴重な経験と読書で得た知識を統合したコミュニケーションスキルのお話です。
アスペルガーな人の離婚問題
アスペルガーの離婚率は80%とも言われています。
全体の離婚率は20%前後ですから、極端に高いですね。
そこにはいったい、どんなメカニズムが働いているのか?
以下のことはしっかりとした根拠がないのであくまでも個人的な印象ですが。
おそらくポイントは、やはり離婚に至る件数が多いのはコミュニケーションがうまく取れなかったからなんだろうと思います。
一般に、最も多い離婚理由に「性格の不一致」がありますよね。
よく考えてみると分かりますが、「性格の不一致」って何かの理由でもなんでもなく、人と人がいればあたりまえのことです。
結婚は、性格の不一致を前提にして、日々コミュニケーションしながら一緒に人生を歩んでいくことだからです。
このとき、うまくコミュニケーションができる人は、そもそも日々の生活を通して相手と自然に通じ合うことができる人。
通常は、最近話題のオキシトシンが原因なのかわかりませんが、直感的にある程度は相手と通じ合えるわけです。
通じ合った結果、相手の求めていることがある程度わかるという仕組みです。
ところがアスペルガーの場合は、この「直感的に通じ合う」能力が圧倒的に足りない場合が多くあります。
「相手の求める」受け答えではなくて、自分が相手の立場に立ったとしたときに「自分ならどうする」をベースにして応対してしまうわけです。
その結果、相手に不満がたまり、離婚に至ってしまう…
そもそもコミュニケーションは、「伝える」ということよりもまず、「相手と自分との間にある深く広い谷間を埋めていく」作業だという視点に立ちかえらないと、直感的になれない人、大人の発達障害者だけでなく普通の人にとってもかなり難しいはずです。
上の定義をベースにすれば、「自分」と「相手」の立ち位置をできるだけ正確に把握しなければ、どの方向にどうやって谷を埋めていけばいいか分からないからです。
ここで、もうひとつのポイントの説明が必要になります。
アスペルガーと離婚しやすい人はアスペルガーと結婚しやすい
もう一度おことわりしておきます。以下、勝手な印象ですよ。
よくアスペルガーは相手の気持ちがわからないから離婚が多い、とか言われますが、同じように極端に理屈っぽさを嫌う人もいます。
こうした人には、普通のレベルの人と比べて、理屈っぽい話をしたときの伝わり具合が低いんです。
たとえば会話の理屈っぽさ度のMAXを100としたときに、0は感覚的度がMAXとします。
数値が近いほど、自分の感覚と相手の感覚が近いことを表します。
普通の人同士の結婚をこの指標で表現すると、理屈っぽさ度60の男性と45の女性、極端な場合でも70の男性と35の女性あたりがペアになることが多いんですね。
その場合はお互いの距離(数値の差)が15~40くらいになるので、多少苦労をする場合でもなんとかやっていけるんです。
ところがアスペルガーの場合は、理屈っぽさ度が85とか95に対して、自分にないものを求める生物学的な傾向があるとすれば、女性も20とか10のレベルの、極端に感覚的な人を選んで結婚してしまうことになります。
そうすると、お互いの差は80~90以上。
お互いの感覚の差も大きくなるうえ、直感的に感じあえない。
これでは、当然伝わりづらいわけで、離婚が多いのもうなずけます。
「AはB、BはC、ゆえにCはA」
みたいな会話表現よりも、
「ねー、AはCと同じだってちょーすごくない?」
と写真か何かを見せながら言ったほうが、理屈っぽさ度0に近いほうの人にはよく伝わるんです。
お互いこのような受けとり方のGapが少なからずあることを、認識していただきたいですね。
そして上記の例のように、相手との距離と方向性を理解したうえでGapを埋めていく作業が必要になるわけです。
わたしは仕事でも、コミュニケーション戦略を練る時間的な余裕があるときは、
「この人は女性だけど細かい数字の話をしてくるし、だいたい60~65くらいかな」
「この人は男性だけどセールスだし、きっと35~40くらいだ。細かい話よりもイメージ図で見せよう」
と普段の話し方やメールの書き方などから相手の理屈っぽさ度100~0の幅の中のポジションを推測しながら、資料のつくり方や表現を変えています。
もちろん相手にもコミュニケーションスキルがあれば、幅広い数値のコミュニケーションスタイルに対応してくれます。
ただしあまり無い人もいますから、できるだけ相手に合わせたコミュニケーションを心掛けるといいと思います。
ちなみにこれも完全に偏見ですが、男性アスペルガー×芸術家肌の人(たとえば…マンガ家とかミュージシャン、デザイナー?)の組み合わせ、けっこう多い気がします。
わたしが何かを伝えようとしている相手は、そもそも搭載しているセンサーの性能が違う、つまり世界の見えかた、言葉の受け取りかたからしてわたしとはまったく違うんだということを、まず理解しましょう。
みなさんの配偶者、友人、上司は、いったいどんなセンサーを搭載していますか?
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