ビューティフル・マイ・発達障害克服・障害者雇用枠ライフ
ィーン ィーン イーン
遠くのほうで何かが聞こえる。
ヴイーン! ヴイーン!! ヴイーン!!!
あわててPHSのボタンを押す。
目覚ましのバイブレーションだった。
眠い。
深夜・明け方までブログを書くのが習慣になってしまい、睡眠時間はだいぶ減った。
でも起き上がるのには昔と違って苦労はない。
まだ寝ている2人を起こさないよう、そぉっと寝室を出る。
ここから40分、毎日のルーチンを淡々とこなす。
まず部屋着に着替え、風呂場で寝ぐせをなおし、切れ味の悪くなったカミソリでひげをそる。
少し出血。ううむ。。
洗面所を出ると、寝間着のままの子どもが眠そうな顔で寝室から出てきた。
「おとうさんきょうはおしごとじゃないの?」
毎朝恒例となったことばをありがたく頂戴して、おもわずにやりとしてしまう。
そしてこちらも平日の決まり文句をプレゼントする。
「お父さん今日はお仕事なんだー」
ささっと朝食を済ませても、毎日の難問がひとつ待っている。
さて、今日は何を着て行こうか?
目の前にあるハンガー掛けには、スラックスが10本ほど。
スーツを着なくなって久しい、所帯持ちの発達障害・障害者雇用枠男のワードローブには見栄と工夫とほんの少しの加齢臭がつまっている。
良いデザインのパンツは高くてそうそう買えないので、セールで比較的いい生地のパンツを買っておいて、近所のお裁縫屋さんでテーパードなどを入れてお直し。
陸上競技で鍛えた足は、ウエストにくらべて太すぎる。
たまにはちゃんとしたブランド品も穿きたいけれど、仕事にはとてももったいない。
…おもむろにユニクロのチノパンとジャケットを装着。いざ。
いってくるよ、と、食卓でバナナをほおばっている子どもとハグ。
「ゴハンちゅうでーす」
ううむ。期待通りの反応。よしよし。
じゃあおかあさんよろしく、と定型文を台所へ向けて放ってから。
昔はなかなか開ける踏ん切りがつかなくて、ため息を数回吐かないと開かなかった玄関のドアを、かるがると開けた。
朝の外の空気は、少し部屋より冷たくて気持ちがいい。
さて、今日もビューティフルな発達障害克服ライフがはじまる。