発達障害はリーキーガットとローカーボに気をつけてつらさを軽くする~お昼休みの臨時講義
発達障害改善のために学ぶ食事の知識とは
※本記事は、
発達障害が行動しはじめると実は伸びしろがすごかった話~4時間目「行動学」
の続編として執筆されています。
「ガラッ」
4時間目の「行動学」の授業が終わり、それぞれの昼食を準備していたとき。
突然教室のドアが開いたので、一斉にみんなの視線が注がれたその先には、校長先生が立っていた。
「さて、みなさん。
これから発達栄養学の授業をはじめます。」
みんな、ポカーンとしていた。
まさか校長先生が授業を受け持つとは思っていなかったし、その内容がまさかお昼休みの発達栄養学とは・・・。
『驚かせたのには理由があります。
皆が一見大切にしないだろう「食事」の改善が、実は発達障害直接の症状や間接的なうつ症状の改善に一番つながるかもしれないことを、もっとよく認識して、大切にして欲しかったからです。
ここまでの授業で、発達障害のメカニズムとして
1.先天的(生まれつき)な脳のつくり
2.後天的(生まれてから)な環境からの影響
が相互に影響して脳の特性が作られるという話を主にしてきました。
そして大きく分類すると後天的な影響に入ってしまうんですが、あえて運動と一緒に3つめとして項目を分けておきたいことがあります。
それが、「食事」です。
そしてなぜ食事に気をつけるべきかの直接的な理由はこの2つ。
1.気分に影響する神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン)の元になるたんぱく質をきちんと摂取して、うまく生成し続ける必要がある。
2.腸の異常(リーキーガット)が原因の体内炎症を避ける。
では、時間も限られていますからここでは1つずつ概略だけを説明します。
気になったところの詳細は、各自で調べてみてください。
まず1つ目の神経伝達物質の話です。
セロトニン・ドーパミンの名前は聞いたことがある人が多いと思いますので、ここでは気分に影響する体内物質とだけ説明しておきます。
足りなくなるとうつ症状が出たり統合失調症の原因になったりすると言われています。
では足りなくならないようにするにはどうすればいいでしょうか?
その原材料が体内に入るところから、いくつかチェックポイントを見てみます。
食事が関係する神経伝達物質の作られ方
まず、セロトニンの材料はトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸で、主に肉・魚類、お米、アーモンド・納豆など豆類に含まれます。
一方ドーパミンの材料はフェニルアラニンと呼ばれる必須アミノ酸で、こちらも肉・魚・卵、豆類の植物性タンパク質に幅広く含まれます。
ダイエットなどでこのおおもとの供給源が少なくなると、気分に影響が出てしまう可能性があるということです。
2つ目に、神経伝達物質作成にあたっての補助食品も不足しないようにする必要があります。
この役目は主にビタミンB6、葉酸などが担っていますので、ビタミンB6ならレバーや魚類、葉酸ならアスパラガスやうなぎを主食と絡めて摂取します。
次に、これらもともとのタンパク質とビタミンを使い、セロトニン・ドーパミンへ正しく変えていく仕組みが必要です。
この働きは小腸の中の細菌群が受け持っています。
ですから細菌群の状態が良くないと、いくら材料があってもセロトニンやドーパミンが作れません。
細菌の状態を良くするには、直接細菌体内に取り込んだりオリゴ糖・水溶性食物繊維を摂ることが大切です。
なかなか条件が多くて大変ですが、やる価値はあると思います。
リーキーガットとローカーボの関係
ではもう一方のローカーボについて。
わたしたちがあえてローカーボ(低炭水化物)の食事をする理由として、この教科書(ADHD改善はグルテンフリーとローカーボ(糖質制限)の潮流にあり)にも書いてありますが、やはり人間の身体はまだ近代の色々な加工食品、糖分に適応できていないことがあげられます。
そして知らないうちに、正常に消化できなかったり腸に負担をかけ続けた結果、腸の壁が破れ(リーキーガット)、さまざまな全身症状、アレルギーの原因になっていることが、ここ最近の研究の結果として出てきているんです。
そして自閉症やアスペルガー、ADHDの症状も、その影響を受けているというのが近年の理解になっています。
ただし、腸に負担をかける可能性のある品目はとても多岐にわたりますし、各個人でその影響の強さも違います。
一体自分の食生活の中の何が強く自分の脳に影響しているのか、その検証は各個人の経験やこれからの実践にゆだねるしかありません。
ですからここでは、上記でご紹介した今年でたばかりの日本初リーキーガット専門教科書「リーキーガット症候群:あなたのその不調の原因は腸の漏れにあった!」から、「一生を通じての健康的食習慣」として紹介されている10のポイントをご紹介しておきましょう。
1.よく噛むこと
2.できるだけ多くの野菜と果物を食べること
3.本物の食べ物を食べる
4.旬のものを地産地消で
5.自分の食べ物を持ち歩く
6.高カロリー&低栄養のものを避ける
7.できるだけ有機栽培の食品を選ぶ
8.脂肪とタンパク質をしっかり摂る
9.お腹が空いたら食べ、満足したらやめる
10.きれいな水を飲む
教科書の中ではそれぞれ具体的に説明していますが、どれも本当に基本的なこと、やるといいよね、とされていることばかりです。
最初の項目でお話しした必須アミノ酸を神経伝達物質へ変えるために必要なことを含め、わたしたちには必要なことを知識として知ったうえで、ストレスのかからない程度に避けなければいけないものを避け、「自分にとって」バランスいい食生活をすることが求められています。
バランスのいい食生活は、適度な運動と一緒に脳の可塑性、神経伝達経路の再編成をおおいに助けます。
これらの正しい知識を得て、さらに先天的・後天的にいまのわたしたちの脳へ影響を与えている遺伝子(エピジェネティクスを含む)、周囲の環境や思考(考え方)のありかたも個々に合わせて加味したうえで、わたしたち自ら「選択」をして食事をして、生きていくことが、この時代だからこそ現れたわたしたちの発達障害に自由と希望をあたえます。
これをよく覚えておいてくださいね。
では、お邪魔しました。』
さすが校長先生、みんなその話に聞き入り、そしてあらためて自分の昼食を眺めていた。
僕も同じように、机の上に置いてあった菓子パンを誰にも気づかれないようにそおっと机の中へしまった。
・・・明日から、お弁当を持って来よう!
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