大人の発達障害でも仕事をひとりでやっていくための「自立」の心構えとは
社会の価値観を気にせず自立して生きる覚悟と心構えとは
【こんなことが書いてあります】
・以前はまったく価値が分からなかった、岡本太郎さんの本の魅力を3回目の出会いで発見した
・組織に属さずに生きた岡本太郎さんも、周囲や社会の価値観から自立して自分の価値観を大切にする生き方を強く薦めている
人にも本にもいえること。
最初に出会ったときは、 「なんだこいつ?」 と思っていたものほど、あとになってたいへん価値のあることに気がつくことです。
いまは実家のある山梨に帰って役人をしている大学時代の親友。
彼との最初の出会いはまさにこんな感じであったし、これから紹介する本もこのパターンで出会いました。
最初の出会いは、はじめて参加した読書会。
会場に入るとカフェの個室にテーブルがいくつか並んでいて。
おそらくまだ20代、短髪で感じのいい主催者に促されて決まった席につくと、同じく人の良さそうな常連らしい人が1人、初めての参加の人が3人、すでにポストイットの名札を準備をして座っていました。
開始時間になりました。
主催者の人が、簡単な自己紹介とともに読書会の趣旨を説明してくれます。
もちろんわたしもそれを聴いていたはずなんですが、そのときは自分が持っていった本をうまく紹介できるか不安で、流れをアタマで繰り返し練習するのにもう必死でした。
参加者の自己紹介が終わると、順番に持参した本の紹介が始まります。
ひとりだいたい持ち時間15分。 その間に本の内容を紹介して、質問や感想などを受けます。
15分は長いと思うかもしれませんが、本当に面白いところを伝えようとすると5分や10分なんてあっという間。
話が盛り上がると15分もあっという間です。
わたしもなんとか飛び出そうな心臓を押さえながら途中質問も交えつつプレゼンして、みなさんに読みたいと思ってもらえたようなのでとりあえずは成功したようでした。
そうこうしていると、遅刻して1人のショートカットの女性が部屋に入ってきました。
かなり仕事ができそうな、たいへん聡明な雰囲気のある人でした。
その方が紹介された本が、当時のわたしには価値がまったく理解できなかったこちらの本です。
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか (青春文庫)
- 作者: 岡本太郎
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 1993/08/01
- メディア: 文庫
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そのときはまだ本格的に本を読み始めて間もない頃で、とにかく新しい本、情報やテクノロジーに価値があると思い込んでいました。
畑違いの過去の偉人に何か学ぶものがあるとは、まったく理解できなかったです。
ところが歴史上の偉人の生き方にはある一定のパターンがあるという本を読んだり、そういった偉人の中に発達障害的な要素を持つ人が多くいることを知るうち、そういった人がどのように生きたのか、非常に興味が湧くようになっていきます。
そんな中でようやく3回目の出会いにして価値を知ったのが、本書です。
大型書店ではたいてい常に平積みになっているベストセラーですので、ご存知の方も多いと思います。
ちなみに2回目は、わたしもクラウドファンディングに参加させて頂いた、渋谷の「森の図書室」でイベントを主催した際、偶然にも2人の参加者の方が同じこの本を持ってきていたときです。
何か縁があるのでしょうか・・・。
圧倒的な文章の力を感じる大人の発達障害者自立のための参考書
本書が出版されたのは約30年前。
でも、これから先の時代、つまり所属する会社のアイデンティティに全面的に依存できなくなる時代にこそ、個々それぞれ生きるうえで必要になる考え方が示されています。
文庫で約220ページ、ほぼすべて刺激的な言葉で埋まっている本書。
ちょっと長くなってしまいましたが、文章の力を感じていただくため、特にこれはという箇所を抜き出してみました。
何か、これと思ったら、まず、他人の目をきにしないことだ。
また、他人の目ばかりでなく、自分の目を気にしないで、萎縮せずありのままに生きていけばいい。
これは、情熱を賭けられるものが見つからないときも大切だ。
つまり、だめならだめ人間でいいと思って、だめなりに自由に、成約を受けないで生きていく。
そうすれば、何か、見つけられるチャンスがおのずからひらけてくる。
一日も早く実行してみるといい。
何をすればよいのか、それが分からない、というかもしれない。
それが、ごく一般的なのだ。
誰もが何かしなきゃいけないと思っている。
ところがそ の”何か”とは、いったい何なのか、よく考えてみると、てんでわからない。
こういう悩みは誰もがもっている、多くの人がそうだ。
では、どうしたらいいのか。
ひとに相談したって仕様がない。
まず、どんなことでもいいからちょっとでも情熱を感じること、惹かれそうなことを無条件にやってみるしかない。
情熱から生きがいがわき起こってくるんだ。
情熱というものは、”何を”なんて条件つきで出てくるもんじゃない、無条件なんだ。
(中略)
何を試みても、現実ではおそらく、うまくいかないことのほうが多いだろう。
でも、失敗したらなお面白いと、逆に思って、平気でやってみればいい。
とにかく無条件に生きるということを前提として、生きてみることをすすめる。
もちろん、今の社会背景を前提にした言葉ではありません。
著者である岡本太郎さんが相当にアーティスティックな感性をベースにして書いた、特殊な文章なのかもしれません。
ただ会社や国といった「組織」の構成員であるという意識が薄れ、価値感が多様化して他人と無条件に共有できる何かが少なくなった今日の社会では、このような何にも縛られずに生き成功した人の考え方はたいへん参考になると思うのです。
まして組織の中での働き方には馴染めないため、独立して生きていく、または生きていきたいと思っている人が多いのがわたしたち大人の発達障害者。
参考にしない手はありません。
そしてまた以前の記事(夏目漱石に学ぶ、自分の「生き方」発見法とは?)でも紹介していますが、夏目漱石も自分の生き方に悩み抜いた末、この考え方ができるようになってから圧倒的なパフォーマンスを発揮できるようになりました。
この周囲の価値観から「自立」した考え方ができるということは、何かを追求してやり抜くための必要最低条件にもなっていると、わたしは考えています。
現代で自立してひとりで仕事をやっていくために
一方でこうした自分の価値観を貫くと周囲との摩擦が生じないかと懸念を抱く人もいます。
このあたりのこともまた、この本では「個性は出し方 薬になるか毒になるか」という章で考え方を説明しています。
上記引用のような考え方に馴染む方は、本書を手にとってこちらもあわせて参考にされてみてください。
自分の人生は、ぜひとも自分自身で舵取りをしていきたいものですね。
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