コネクトームのしくみを理解して大人の発達障害人生を改善する
大人の発達障害がどうして起こるのかコネクトームを通して理解してみる
早いもので、もうすぐ師走ですね。
東京は今週から急に寒くなりました。
気がつけば今日はまわりはかなりの人がコートを着ていましたが。
わたしはどうしても朝バタバタしてしまうのと、夜のうちに次の日を見越して準備するのが不得意なので、今日も薄手のジャケットにマフラーだけ。
・・・明日(記事公開時点では今日)は絶対、コート出します!
***<ファーストシーズン「大人の発達障害改善のヒント」全78記事の目次はこちら>***
では引き続き、セカンドシーズンでは生物としての人間、生きるとは何か?などになんとなくフォーカスしながら進めていきます。
ヒトの個性を決めるコネクトーム
さて、前回は本だけご紹介した脳科学の新刊、「コネクトーム」。
コネクトーム:脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか
- 作者: セバスチャン・スン,青木薫
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2015/11/18
- メディア: 単行本
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読みました。はい、面白かったです。
しかも思いがけず、「自閉症」というキーワードもかなり頻繁に出てきましたね。
今回は「コネクトーム」というニューロンネットワーク地図を明らかにすることによって見えてくる、人間の「意識」のしくみにせまります。
この知識から類推するに、発達障害関連の症状でたまに聞く「現実感のなさ」などの解決策も出せるんじゃないかと勝手に考えています。
ではまず、「コネクトーム」って何?というところからですが・・・
本書のオビを見てみると、
わたしの心はなぜ他人と違うか、記憶はどう蓄えられるか、心の病はなぜ起こるかー。すべての答えはコネクトームの中にある。
なにやらすごいもののようですが、これだけではよく分かりません。
表紙をめくってみるとすぐ、
脳の全神経細胞ネットワーク地図=コネクトーム
とあります。なるほど。
遺伝子(ゲノム)の解読という言葉はよく聞きますが、脳の全神経細胞の地図、ということはたしかにあまり聞いたことがなかったですねー。
ここで前提になることを確認しておきます。
まず脳の神経細胞はニューロンと呼ばれていて、脳全体で千数百億個もあるそうです。
この数が人によって違えば、脳の中でのつながりかたも違うんですね。
その数やつながりかたは遺伝子にも一部は依存しますし、その人がどんな経験をしてきたかや食生活にも大きく関連します。
つまり、この構造がヒトの個性を決定しています。
発達障害が、遺伝子による要因と経験や食生活など後天的な要因によって起きることとまったく同じです。
シーズン1でたびたび説明してきた通り、ざっくり言うとこの構造は子どもの頃に一度決まったらそれで固まるのではなくて、大人になってからもどんどん変化させることができる、という立場をこのブログでは支持しています。
考え方や習慣、果てはストレスからの回復の早さ、発達障害の症状まで、変えていくことができる可能性がある、ということになります。
では、どこの配線をどう変化させると、何がどうなるのか?
実はそれがまだはっきりしていません。
それを解明するためのベースとして、「コネクトーム」の作成プロジェクトがあるというわけです。
本書ではそのコンセプトの説明と、未来への大きな可能性を示唆しています。
ただ、可塑性(神経細胞の配線を変えたり増やしたりする)を高めるにはより自然な生活環境が必要、というのは本書でも指摘されています。
会社と家の往復だけ、という生活では、いくら通勤で本を読んだり勉強したりしてもあまり効果はない、といえるのではないでしょうか。
大人の発達障害をコネクトームの発想で改善してみる
では本書について発達障害に関連しそうな記述をかいつまんでみます。
少し難しくなってしまったので、8行くらいは飛ばしても構いません。。。
本書ではコネクトームの完成と研究発展による目的のひとつとして、自閉症の改善可能性を検証しています。
まず一卵性の双子の一方が自閉症であるとき、もう一方が自閉症の確率は60%から90%だそうで、完全にではないにせよ遺伝子の影響があるとします。
ただ、遺伝子が影響する神経細胞の「生成」や「移動」には自閉症者は特に不都合がなくて、それらが起きたあと、それぞれの「つながり」についてのみ不具合が出ます。
そして自閉症者の脳は、小さいころは成長のペースが通常より早く、前頭葉でニューロン同士の接続が過剰で、その他との接続が弱いのでは、という説が紹介されます。
つまり、遺伝と後天的な影響で、脳の接続(つながり)の「バランス」が悪くなっている、ということなんですね。
では神経細胞の接続のバランスが悪くなると、どんな影響が出るんでしょうか。
その説明には、また別の本のチカラを借りましょう。
お、7件もブログで言及されています。けっこう読まれていますね。
書名のとおり、「意識」の発生原理の有力仮説を説明した本で、いまこのカテゴリの中では一番有望なもの、とも言われている本だそうです。
以下、わたしの理解の範囲で、ヒトの「意識」が発生する原理をざっくり例えて説明してみます。
たとえば脳の神経細胞(ニューロン)のひとつひとつが、カタチの違うレゴブロックのようなものだとします。
わたしがパソコンを見て、「ああパソコンがそこにあるなぁ」と思える(意識できる)ためには、そのレゴブロックの部品ひとつひとつがたくさん集まって、パソコンのカタチを作る必要があります。
そのパソコンが細かいところまでとてもうまくできている(ネットワーク量が多くて複雑な状態)とき、意識のレベルが高い状態(はっきりとした現実感がある?)、といいます。
でも部品の連結が足りないと(ニューロンの全体のネットワーク量が少ないと)、パソコンのカタチそのものを作ることができません(=意識が発生しない)。
そしてレゴブロックの連結部分が悪くなっていたり(神経細胞ネットワークのバランスが悪い)すると、カタチを作るのに時間がかかったり、作ってもすぐにバランスを崩してカタチが壊れてしまうんです。
この最後の状態のときが、たとえば自閉症だったりアスペルガーだったり、ADHDみたいなものなのかなぁ、とわたしは考えました。
ということは、です。
一部がどうしてもバランスが悪くなってしまって、全体に影響がでている状態を少しでも改善するには、とにかく神経細胞のネットワーク量をいろいろな方向に増やして、全体としてバランスをとってやればいいんじゃないか、と。
イメージですよ?イメージ。
そのためには、とにかくたくさん、新しいことに接することです。
全身や手足の細かいところまで使う運動をすることです。
そしてこれは、「現実感がない」という症状にも有効な対策かもしれないなぁ、と勝手に考えています。
最後にもうひとつ、「コネクトーム」では抗うつ剤の効果についても言及されています。
抗うつ剤は、ただ飲めば治る的なものではなくて、上記のように自分の経験的な刺激をもとに新しく脳神経細胞ネットワークをつくったりするときのサポートをする、という研究結果が出ているそうです。
つまり、自分のコネクトームをより理想的なものに近づけていくためには、抗うつ剤を飲みながら、毎日なり毎週なり新しくやりたいことにチャレンジして、新しい脳神経ネットワークをどんどんつくっていくことが必要なんですね。
わたしがストラテラを飲みながら、仕事帰りに読書会や勉強会、いろいろなイベントへ参加して、大人の発達障害人生を改善していったこととまったく一致します。
(最近、結論が同じのばかりですいません。偶然です。。)
もしも人生の改善にチャレンジしてみる気力がもどったときには、ぜひ身近で興味のあるイベントへいろいろ参加してみてはいかがでしょうか。
たとえば、こんな。
(以下、告知です!)
【もうやん文京 vol.7】12/15(火)19:20~
3人の公募された講師による、
30分の多種多様なプチ講義を、
300円で受講できます。
1限目:『あなたの5感が冴え渡る日本酒講座』
2限目:『色の錬金術☆色(カラー)について』
3限目:『人生を逆転させるコミュニケーションの技術』
今回、3限目をわたしが担当させていただきます。
詳細はこちら。
https://www.facebook.com/events/1893231634236034/
Facebookアカウントをお持ちでない方は、募集要項は見られますが
上記URLからは申し込みができません。
hlifelabo@gmail.com まで、お名前と参加希望の旨お知らせいただければ
主催者側へ連絡させていただきます。
#いよいよ来週発売です。
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