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発達障害の「生き方」研究所 | Hライフラボ

転職4回、うつで1年の休職歴あり。30歳を過ぎてADHD・アスペルガーまで発覚した人間が、妻と娘の育児のためにもがいた結果… 「生きづらさ」と戦いながらそこそこ稼ぐためのHライフラボ的・生き方3.0とは?

成人発達理論から大人の発達障害人生改善のコツを読み解いてみる

成人発達理論と大人の発達障害人生改善の深い関係

 

2月18日、土曜日の午後。

 

東京駅から、電車で山梨方面へ1時間も移動すると、「平成狸合戦ぽんぽこ」の舞台にもなった多摩ニュータウンの丘陵地帯が見えてきます。

 

このあたりは「ひと山につき、ひと駅 or ひと大学」という感じなんですが・・・

 

この日はまさに、その中のひと山にある明星大学の教育研究機関で、早くから発達障害の学術調査・研究に取り組んでいる「発達支援研究センター」主催の公開講演会・シンポジウムがありました。

 

 

全面にスライド投射用の大きなスクリーンが2つ。

 

後方にも同じ映像が映される大きなモニターが多数天井から吊るされている、という好環境の大教室に、開始予定時刻にはほぼいっぱいの聴講者の方が集まっていました。

 

 

まずは1時間の公開講演がはじまります。

 

 

 

「自分の育て方」が重要な時代へ

 

今回登壇しましたの公開講演会・シンポジウムのテーマは、

 

「発達障害のある人が適職と出会うまで~自分をいかに育てるか」

 

というもの。

前半はともかく、後半の「自分をいかに育てるか」というテーマはたいへんに壮大です。

 

 

まずわたしは、2020年からの大学入試改革・学習指導要領改訂に触れました。

 

その中でも重要なポイントとしてあげられている通り、これから「主体性」がたいへん注目・重視されてくること、そして「自分の育て方」が発達障害の特性を持つ人だけでなく、日本全体のテーマになりつつあるとまず前置きしたうえで・・・

 

当事者の方向けにアレンジした自己紹介とこれまでの経緯を20分くらい。

その後、人生が良くなる過程に何があったのかを3つのテーマに分けて解説しました。

 

 

ひとつめは、自己理解

これは事前の打ち合わせの中でも触れて欲しいとリクエストを頂いたポイントです。

 

本質的には、自己理解は自分を客観的に見られるようになってはじめて成り立つので、「自立」していない限りは自己理解が成り立ちづらいこと。

 

そしてそれができないうちは、支援者や周囲の人とできるだけたくさん接して、自分がどんな人間か「教えてもらう」ほうがいいかもしれないこと、などをお伝えしました。

 

 

ふたつめは、得意な作業

 

このブログでもお伝えした通り、時間を忘れて作業できること、つまりフロー状態になれるものを見つけていくのがてっとり早いです。

 

他にもいくらでも見つけ方はあるかもしれません。

 

ただ基準として「時間を忘れている、時間感覚が変わる」ことは自分でも分かりやすかったです。

少しでも自分を客観視できるようになってくれば、「自分がいつ時間を忘れているのか」にも気づけるようになります。

 

そしてそのときに、できるだけ作業のまとまりを細かくして考えると見つけやすく、応用もききやすいです。

 

たとえば「データ分析」という作業でも、

・仮説設定

・データ収集

・データ加工、整理

・データ分析

・結果の伝え方の設計、資料作成

などなどいろいろあり、この中のどのプロセスのときに時間が短く(または感覚がいつもと違って)感じるのか、がはっきりすれば、それぞれのプロセスを同じように活用するほかの仕事でもフロー状態を感じる可能性が高いといえるでしょう。

 

 

成人発達理論とファクトとしての大人の発達障害人生改善プロセスの重なり

 

そして最後に、「自立」のプロセスをご紹介しました。

 

他者や社会の価値観と、本当に自分が感じていることを区別する。

 

言いかえると、自分の主体性をつくりあげること。

 

 

それは決して簡単ではないのかもしれません。

 

でもそこには本当に生きやすい別世界が待っています。

 

 

個性の強い発達障害の人たちがこれから生きていくにあたり、数ある生き続けていく方法の中でも一番、特性時代にマッチした戦略でもあると思っています。

 

 

 

ここで少し講演内容とは離れますが・・・

 

時代という点では、偶然にも同じく先週開催だったat Will Workさん主催の「働き方を考えるカンファレンス2017」にわたしも参加していたんですが。

そこでは経産省の世耕大臣や竹中平蔵さんなど、登壇された数十名の「働き方キーパーソン」の方々が、みなさん異口同音にこれからの働き方の最重要要素として主体性

をあげていました。

 

各セッションのテーマは多岐にわたるのに、結論は結局「主体性を持って働く」に落ち着くことが多かった印象です。

もう本当に、びっくりするほど・・・

 

 

 

そしてこのブログでいう自立を、「成人発達理論」という発達心理学のカテゴリに当てはめて考えると、かなりスムーズに説明できることがわかりました。

 

少し長くなりますが、まず成人発達理論の全体像を紹介します。

成人発達理論を研究しているロバート・キーガン博士の理論がわかりやすくまとめられている昨年のダイヤモンド・オンラインの記事から、ポイントを引用してみます。

 

成人発達理論とは、人間が生涯をかけてどのように成長していくのかを扱う学問領域です。成人発達理論の大家でもあるロバート・キーガン博士は、人間は5つの発達段階を経て成長していくと述べています。

 

発達段階1は「具体的思考段階」と呼ばれ、言葉を獲得したての子どもの段階なので、成人はみな2以上ということになります。 

 

発達段階2は、「道具主義的段階」あるいは「利己的段階」と呼ばれ、自分の関心事項や欲求を満たすことに焦点が当てられています。他者の感情や思考を理解することが難しく、他者を道具のようにみなすということから、「道具主義的」と呼ばれているのです。この段階は成人人口の約10%に見られます。

 

発達段階3は成人人口の約70%を占め、「他者依存段階」と呼ばれます。自らの意思決定基準を持たず、組織や社会などの他者の基準によって自分の行動を決定します。

 

発達段階4は「自己主導段階」と呼ばれ、成人人口の約20%にみられます。ここまでくると、自分なりの価値観や意思決定基準があり、自律的に行動することができます。

 

発達段階5は「自己変容・相互発達段階」と呼ばれ、成人人口の1%もいません。自分の価値観や意見にとらわれることなく、多様な価値観をくみ取りながら的確に意思決定をすることができます。

 

引用元記事:7割を占める「普通の社員」がイノベーションを起こすには|組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進|ダイヤモンド・オンライン

 

 

ちなみにこの理論の背景について、成人発達理論の大家とされているロバート・キーガンの著書「なぜ人と組織は変われないのか」をあたってみると、たいへん科学的な方法で上記の各段階の存在が確認されていることも分かります。

 

参考書籍:なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践

 

 

この理論に照らしてみると、わたしが実体験したことはまさに発達段階2~3から4への移行でした。

 

発達段階2から3、そして4への移行に必要なこととされる「自分中心の視点から一歩離れた視点を取ってみる」「自分の考えを言語化する」ことを、まさに読書会やイベント・仕事でのプレゼン・育児で自然と経験していたことからくる変化だったんだと思います。

 

さらにそのアクションをするときのポイントとして、より上(この理論では上の段階の発達が「良い」とは言っていません)の段階に発達した人とのコミュニケーションこそ、上の段階へ移行していく可能性を多く含んでいるという研究(研究の場合はコーチングを対象にしています)があることです。

 

これもまさに、書籍やブログでも書いたとおり読書会や社外イベントで経験していました。

 

参考書籍:組織も人も変わることができる! なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学

 

 

つまり成人発達理論という人材開発の現場の新理論と、わたしが体験したファクト(事実)を重ねあわせて考えると、どうやらこれはきれいに一致している、普遍的な現象のようでした。

 

理論上、必要なことを実践していけば誰でも自立を実現できることとされているんですね。

 

では、発達障害の特性を持つ人についても同じことがいえるのでしょうか。

 

 

成人発達理論を支える脳の中の4要素

 

最後に講演では、自立や主体性の確立(イコール ここでは成人発達理論における発達段階4)を支えているであろう脳機能の要素を整理してみました。

 

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「客観的に自分を見る」「外からの視点をつくる」という、よく発達したメタ認知の脳機能を発動するためには、主に前頭全皮質にある複数の脳の機能を複合的に使う必要がありそうです。

 

ここでは仮に、

 

  1. オキシトシン(愛着・居場所の確保)
  2. 短・長期記憶(知識・経験・感情)
  3. 想像力(言語力)
  4. 一定の言語性ワーキングメモリの空き容量(投薬、トレーニング)

 

の4つをあげてみました。

各項目、必要な機能はおそらくもっと細かい内部の要素を抽出したほうがいいと思っていますが、現時点ではこのレベルでしかわたしも研究不足で書けません。

(もちろん、間違っている可能性も十分あります)

 

発達障害の特性がある人は、何らかの理由で上記の1が欠けている場合があるかもしれないし、多動を抑えるためにワーキングメモリを多く使ってしまい空き容量がなくて、本来持っている脳のリソースを十分活用できていないケースもあると思います。

 

そうなると、自然に主体性や自立を獲得するのは難しいでしょう。

 

そこで、投薬や読書会参加による改善アクションが必要になるわけです。

 

 

これからも引き続き、自立や主体性の獲得には何が必要なのかを研究・検証していきますが。

 

 

細かい要素とその発達プロセスを特定できるまでは、

 

よりよく発達して主体的に行動している人達と、読書会興味分野のイベントを通じて楽しく遊ぶ

 

ことで十分に代用できることがはっきりしましたので、時間のある平日夜や土日、まずはワンアクションしてみてはいかがでしょうか。

 

参考イベントサイト:

Peatix (ピーティックス)| グループ・イベント管理、チケット販売・集客サービス | Peatix

ストアカ | 日本最大級のスキル・趣味・習い事のマーケット

 

 

なお都内に関しては、

「行ってみたいけれど1人では最初は不安」

のようなご相談には乗れるかもしれません。

お問い合わせメールアドレスまでご連絡ください。

 

 

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