大人の発達障害におすすめの仕事ベスト10を紹介する
発達障害に向く仕事、向かない仕事
【こんなことが書いてあります】
・個人的にやって良かった仕事、向かなかった仕事を分析
・データアナリスト、職人的な仕事など細かい作業が必要な仕事がおすすめ
・最終的には、それぞれが精神的に周囲の世界から自立して、自分が情熱を持てる「天職」に就いて働いていくことが最も幸せな生き方
※2015/5/10:「自立」についての説明を追記しました
※2015/6/16:一部説明不足な箇所を補足しました
わたしはアスペルガー・ADHDが発覚して障害者手帳を取得する前、新卒で外資系の専門商社へ営業として就職してから、いまの仕事に就くまでに4回の転職を経験しています。
また大学生のときから比較的多くのアルバイトを経験したこともあり、過去の経験をベースにした大人の発達障害、ADHDやアスペルガーにおすすめの仕事、職種のベスト10を考えてみました。
…ところが、いざランキングしてみると社会人としてまともにやっていける仕事がほとんどありません。。
これが現実かもしれませんが、こんな情報でもどんな方の役に立つかわからないので公開することにします。
そして別の記事で「発達障害としての適職はない」と言っておきながら恐縮なタイトルですが、あくまで私の具体的な一例ということでご容赦ください。
もちろんそこには職場環境だったり、一緒に働く人であったり、個人の資質といったような要因が大きく影響しますので、このランキングが全てではありません。
但し極力公正な目で一般的な業務内容を考えたうえでランキング付けしてあります。
ではさっそく、ランキングへ。
1位 データアナリスト
ADHDでありアスペルガーである私の、現在の仕事です。
この仕事は本当にアスペルガー向きです。大人の発達障害でも、十分に生涯の仕事としてやっていけるでしょう。
アスペルガーは脳の特性上論理性がよく発達しています。ですので論理性のある仮説を立てやすい。
またアスペルガーは普通の人よりも細部に目が行きやすいです。つまりデータの微妙な挙動を把握しやすく、一般的にデータのパターンをつかむのが得意。
ある企業では、発達障害の障害者雇用についてはデータチェックとかソフトウェア検査といった細部にこだわれる作業を優先的にやってもらうようにしているらしいです。
そして何より、ハードな対外交渉がありません。
ADHDの特性があって多少ミスしても直接お客様に影響が出るものでもないし、個人作業が多い。
(誤解のないように言うと、データアナリストでもお客様との調整がある場合があります。)
みなさんも、特に自分に合った職が見当たらない就職活動中から、ぜひデータアナリストを目指してみてください。
現在の私にヘッドハンターから来るオファーからすると、データアナリストの年収は400万円~1,000万円くらいが相場かと。
統計学の授業を大学でサボって単位を落としていた私(文系)のような方でも、少し勉強すればすぐに実務に応用できますので、ぜひ。
なお文系の人向けの初級テキストは、こちらをおすすめします。数式がほとんどないのに統計学の基本的な考え方が身につきます。
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2位 ライフガード
…なんてかっこよく書きましたが、私の場合は市民プールの監視員です。
仕事はとにかく見ているだけ。おぼれた子どもがいたら笛を吹いてから飛び込みます。
あとは公開前後の掃除と、受付ですね。仕事がどれもシングルタスク。
当時は大人の発達障害とはまったく知りませんでしたが苦もなく仕事ができて助かりました。
但し、休憩中にハードなトレーニングを課すところもあるので体力に自信が無いかたはご注意を。
気になるのが年齢ですが、意外と制限が無い場合もあります。
私が以前働いていたところは、中年の自由人ぽいおじさんも一緒に仕事してました。
時給900円也。
3位 徽章作成職人
徽章って分かりますか?
あの、卒業式とかなんちゃら委員会とかで、胸に付けるリボンでできたお花のことです。
まずリボンを縫うところから。花の形に整えて、ボール紙を型で抜いたまるっこいものを中心に糊付けして完成。
これを延々と繰り返して、数ができたら箱にキレイに詰めて、出荷します。
いわゆる内職仕事ですね。ネットなどで探すとまだあるようです。
単価は安いですが、ADHDの過集中を生かして作業すると時間も早く、充実した気持ちになります。
1個3円?5円?の世界。
4位 学会運営補助
学会やセミナーなどの運営会社に登録することで、余裕のある時間に比較的単価の高い運営補助の仕事をすることができます。
受付や運営、案内などいろいろ職種があるんですが、私は目が良かったのでスライド映写係の仕事ばかりやっていました。
単純そうですが、スライドを移すタイミングや各スライドごとにピントを合わせないといけないので、集中力が要ります。
ADHDの特性で過集中な仕事ぶりを発揮していたら、その集中力が評判良かったらしく熱海の学会までバイトの身で日帰り出張させられたことも。。。
これもマルチタスクが無い仕事なので助かりました。
時給1,000円也。
5位 交通量調査
これは発達障害者の仕事の定番中の定番ですね。多くは語りません。
言わずもがな、周囲には同じ障害を持つ人がおそらく多いので、人あたりが強くないためやりやすいと思います。
1点だけ注意する点は、交通量の少ない場所へ多動の方が入ってしまうと苦痛です。
時間が経つのがとにかく遅い。。。
1勤務1万円くらい?
6位 ドラッグストアの店員
コンビニのように仕事が多種なわけでもなく、マルチタスクもないので比較的長く勤まりました。
ただし重い商品を品だししたり、店の前面に山積みしている商品も閉店時には店内へ移動しなければいけないので、男性でパワーに自信のない人は要注意です。
時給900円也。
7位 競売不動産査定士
競売物件の資産性について、売りに出ているマンションのまで実際に出かけていき、住民の数や外観など必要項目をチェックして、余剰資金の運営を資産家に報告書として提出します。
ちなみに私が仕事をしていたのは、御徒町のとある宝石商のところです。
物件の規模にもよりますが、1件につき数千円~1万5千円くらいが収入です。場所が近ければ1日2~3件回れます。
これも対人的ストレスがないのでおススメです。
8位 ポスティング
これも単価が低めですが、対人ストレスは無いので長く続けられる仕事です。
通常、他の店舗型の事業だとポスティングが仕事のひとつになっています。
単価が低いので8位にしていますが、内容的にはもっと上位ですね。
9位 零細企業のWEBシステム法人営業 兼 SE
若い頃、電子決済システムをWEBショップに提案・導入してもらう提案営業の仕事をしていました。
1人でサポートまでやるんですが、零細なので顧客量がそこまで多くなく、かえってマイペースでできたので1人で全部進める仕事はアスペルガー向きの仕事といえるでしょう。
ただし、何でもできる雰囲気を出すと何でもやらされてしまうのが零細企業。その点だけがマイナスポイントです。
総支給で月給20~23万円くらい。
10位 大手通信キャリアの企画職
逆に大手の場合、周囲の人との調整業務が多くなります。
これが大人の発達障害には鬼門で、特にアスペルガーの要素があると人に聞いたり頼んだりすればすぐに終わる仕事もなるべく自分で処理しようとしてしまうので、時間もかかり仕事もたまる悪循環になる傾向があります。
会社の歯車感はありますが、待遇はいいので余計にジレンマを感じます。高給を得る必要がないのであれば大人の発達障害者にはおすすめできません。
総支給で月給28万~35万円くらい。
圏外 パソコンインストラクター
一見良さそうに思えてやってみたことがありますが、マルチタスクの嵐でとても続けることができませんでした。
個別授業なら良いんですが、最近はどこも多人数同時別カリキュラム受講なので、頭の切り替えも頻繁にする必要があります。
圏外 バイヤー
いわゆる仕入れをする担当者のこと。資材とか購買と言うこともあります。
バイヤーの仕事は、納期や在庫など管理するべき情報が多すぎるうえに、発注処理などでのミスが出ると大変なことになるので、発達障害、とくにADHDの神経では耐えられません。
メーカーなどとの商談も、大人の発達障害者の神経を非常に疲労させます。
できればこの仕事は避けた方がいいでしょう。(と言いながらも私はこの仕事のキャリアが一番長いんですが・・・・)
発達障害者は小手先のテクニックより「精神的自立」を重視して仕事を探す
非常に属人的なランキングになってしまいましたが、巷の「大人の発達障害攻略マニュアル」に書かれている、「アスペルガーに向いている仕事、向いていない仕事」
「ADHDを仕事で活かす」的な本よりはリアルな感覚で書いています。
こうして見ると、大人の発達障害者はもし(なるべく苦しまないほうへ)就職・転職するとすればやはり大手よりも小・零細企業です。
(ただし、大手企業出身者が起業したような「粗雑な方がいなそうな」です)
そしてデータアナリストなど職人技が必要な仕事が向きます。職人の仕事が日本からどんどん消えてしまっていますから、データ分野の職人養成は急務ではないでしょうか?
(一方でデータサイエンティストの市場は狭くなるという話もありますが・・)
【2005/5/10追記】
上記はあくまで「一般的な特性」を重視した仕事選びを想定しています。
ただ本当におすすめしたい仕事は、「わたしたちそれぞれにとっての天職」です。
やっていて、時間を忘れるような仕事。没頭できる仕事。情熱を傾けられる仕事。
これを見つけて、最終的にはその仕事で生きていけるような生き方をすることが、発達障害者にとって最も幸せだと断言できます。
なぜかというと、これらの情熱は特性の弱点に勝るからです。(先送りや対人関係を避ける傾向がなくなる)
ではどうやって天職を見つければいいのでしょうか?
そのためには、まず「自分の本来の志向」と「周囲の世界からの影響」を切り分けるための精神的「自立」が不可欠です。
過去記事にはそのためのマニュアルを多く掲載していますが、いくつか特によく読まれているものを下にピックアップしてみました。
なお2015/12/2に発売しました著書「発達障害の自分の育て方」には、自立と天職について、ブログでは書けていないポイントも含めて、できるだけ分かりやすく書きました。
ブログ立ち上げから8カ月で30万回読まれた、人生改善の新アプローチ「大人の生き方3.0」。
わたしたちの本当の人生は、まだまだこれからです。
※2016/2/11追記 大反響を頂きAmazon/紀伊国屋書店WEBでは在庫切れになっています。
ただいま増刷中ですが、お急ぎの方はお近くの大型書店か丸善&ジュンク堂WEB(2/17時点でこちらも一時在庫切れ)またはお急ぎの方はKindle版をご検討お願いいたします。
そもそも自立とは?というところから、わたしが実践した自立の方法を説明しています。
仕事選びの前提になる「自立」について説明してます。
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