発達障害の「生き方」研究所 | Hライフラボ

転職4回、うつで1年の休職歴あり。30歳を過ぎてADHD・アスペルガーまで発覚した人間が、妻と娘の育児のためにもがいた結果… 「生きづらさ」と戦いながらそこそこ稼ぐためのHライフラボ的・生き方3.0とは?

大人の発達障害を「育児」で克服する

大人の発達障害者は育児をしてはいけないのか


私には、一人娘がいます。

彼女が産まれた時は、まだ自分が発達障害だとは知りませんでした。
こういった状況の方も多いのではないでしょうか・・・

世間では発達障害を持ちながら子どもを持つことには賛否両論あるようですが、私は断然賛成です。むしろ、適切な手段をしっているならば育児は大人の発達障害の治療にもなると思っています。

なぜなら、育児を知ることで自分も一緒に成長することができるからです。


育児は、決してただ衣食住を与え、学校に通わせ、成人させて送り出すだけの作業ではないと思います。
私も子どもが生まれて初めて気がついたのですが、親はただの「保護者」ではなく、学校の教師よりもはるかに影響の大きな、子どもの「教育者」なんだということです。

教育をするということは、何も学校の科目を教えるだけのことではありません。相手の「自立」をサポートするという、むしろ「ケア」に近いんだろうと感じています。

あなたは自分の親に「教育」を受けたことはあるでしょうか?・・・私はほとんどありませんでした。


「生きづらさ」をなくす第一歩、「自立」への道

私はたまたま、子どもをどう育てるかについてとても関心があり、いくつかの育児本を読んでいました。そして幸運にも、その中に発達心理学の権威エリクソンの研究成果を題材にした本があったのです。

この本を読んでいて、娘のためにも自分のためにも本当に良かったと思うくだりがこちらです。

子どもの発達には、依存から自立へという過程が絶対に必要であって、それは不可避のことなのです。(中略)健全な発達と自立には、そのように十分な依存体験が必要です。
0歳からはじまる子育てノート―エリクソンからの贈りもの

0歳からはじまる子育てノート―エリクソンからの贈りもの

 

 
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この本には、幼稚園以降で健全に自立していくためには、まずそれ以前の段階でたっぷりと愛情を得て依存することが必要だと書かれていました。これはいわゆる「アタッチメント(愛着)」の問題にも通じます。

そして、この本にはこうも書かれていました。

 

産まれたばかりの赤ちゃんが、お母さんの話す自分の国の言葉にだけ、際立ってはたらく新生児の脳の部位も前頭前野でした。

 

前頭前野とは、私たちが日々悪戦苦闘している発達障害の原因とも言われている脳の部位のことで、コミュニケーションや、衝動・感情を自制・制御する”対人関係”や”社会性”を担うところです。


つまりここから2つの重要なことに気がつきました。

  1. 生きづらさを解消するために必要な「自立」には、そこへ至るまでの絶対的なプロセスがある。
  2. 私たちは生まれつき前頭前野に障害を持っているけれど、前頭前野の成長はある程度親の育て方で促進できる。

 

他の記事でも書きましたが、生きづらさを感じる原因のひとつは「自分」と「周囲の世界」が切り離せていないからです。

た とえば良い学校を卒業して、親や周囲から期待されながら評判のいい大企業へ就職をして社会に出たら、まったくうまくいかなくてうつになってしまった・・・ ということがあったとき、親や周囲の期待、世間の評判が自分の職業選択に大きく影響されていたら、その時点で自立ができていないということで、社会に出て 生きづらいのは当然です。
(こういう子どもを育ててしまう場合、親も自立ができていないケースが多いと思います)


ではこれから自立を目指そうとなったとき、どうすればいいのでしょうか。


そこには本来確たるプロセスがありますから、依存を経験していない人間が一足とびに自立ができるわけではないのです。

ここでアダルトチルドレンのようなアプローチが必要なわけですが、自分で自分を育てなおしてあげないといけないんですね。
こ の育てなおしはケースバイケースだと思うのでとても難しいポイントですが、特にひどい2次障害(発達障害があるために負ってしまったうつ症状や神経症、依 存症のこと)がある方にとっては重要です。WEB検索するといろいろ出てきますので、ここではそちらに譲ります。たとえば個人的に分かりやすいと思うのはこちらのサイトです。

とにかく明確なプロセスが必要とだけ、説明しておきます。


子どものケアに専心することが親の自立につながる

2についてはだいたい1歳くらいまでの時期が重要だとこの本では言っています。

それでも、もうある程度育っている子どもをもつ私たちも、決して遅くはありません。いまからでも、子どもが自立できるようサポーティブに接しましょう。そうすることで、もちろん子どもの成長は健全になりますし、そして何よりも私たちの自立にもつながります

これはどういうことかというと、サポーティブになるには自分が「こういう子どもに育てたい」という自分のことしか考えていない(たとえ「この子のため」と 思っていても、です)接し方ではなくて、子どもの置かれている状況や心情を純粋に推量・想像できるよう集中しながら接していくことを意味しているので、自 分が無意識に影響されてしまっている親や周囲の期待だったり、世間的に価値のあることから離れて、本来の自分自身に近い状態で行動することになるからで す。

こちらの記事で紹介した本に書いてあることとも同じになりますが、私たちは意識を集中させる「何か」が無いと、自立ができません。

他者が成長していくために私を必要とするというだけでなく、私も自分自身であるためには、ケアの対象たるべき他者を必要としているのである。(中略)相手の成長を助けること、そのことによってこそ私は自分自身を実現するのである。
ケアの本質―生きることの意味

ケアの本質―生きることの意味

 

 
「何か」を繰り返し行うことで、次第に自分を取り戻していきます。
そして「何か」とあえて言ったのは、自立に通じるカギは今回お話しした育児だけではないからです。

私はあと2つ、同じロジックで自立を助ける行動があると思っています。

それは、「プレゼンテーションの作成」と「天職」です。
どちらもHライフラボ的3.0の生き方に取り込んでいますので、育児ができない環境にある方でも無理なく自立することができます。

このテーマではまた改めて、書きたいと思います。

 

 

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