発達障害の「生き方」研究所 | Hライフラボ

転職4回、うつで1年の休職歴あり。30歳を過ぎてADHD・アスペルガーまで発覚した人間が、妻と娘の育児のためにもがいた結果… 「生きづらさ」と戦いながらそこそこ稼ぐためのHライフラボ的・生き方3.0とは?

発達障害・ADHDのための仕事の「先延ばし」の苦しみから解放される唯一の道とは

ADHDの仕事の「先延ばし」への究極の処方箋

【こんなことが書いてあります】

・「先延ばし」の方程式にあてはめると、ADHDが「先延ばし」に苦しむ理由がすっきりする
・「先延ばし」の苦しみから逃れるには、天職をさがして仕事にすることが大切

 

→「生き方」研究所記事一覧へ

 

 

 

「これは絶対に今日やっておかないとマズい」

 

そう思った次の瞬間、別のやるべきことを探しはじめる。(with 罪悪感)

 

大人の発達障害、特にADHDとアスペルガーが強めに出ているわたしの「先延ばし」のパターンです。

 

 

こうしてどんどん締め切りが迫り、自分の首を自分で締めていく。。

 

それでも。

後で苦労するのはわかっているのに、ついすぐに「完了」できる仕事を探してます。

 

 

「完了」の麻薬

かっこいいのでこう呼んでおきましょう。

 

タスクを完了したときの快感をすぐに得たくて、メール返信などちょっとした仕事をもぐらたたきのようにつぶしつづけ、大事で完了までにいくつかのプロセスと時間が必要になることがどんどん後回し。

 

そしてそれを自覚しているから、やっていない自分に対してストレスがたまる・・・

 

 

この負のスパイラルは、ストラテラを飲んでいる今でも、バリバリADHDなわたしは気を抜いたりちょっと忙しかったりするとすぐに現れます。

本当に本当に勘弁して欲しいです。。

 

 

「先延ばし」の方程式とADHDの関係

このローカルなブログに来ていただいている勉強、情報収集熱心な方は聴いたことがあるかもしれませんが。

 

「先延ばし」の方程式というものがあります。

 

先延ばしの研究で博士号を取得したピアーズ・スティール教授が、多くの文献や自分の経験を十分に分析、「先延ばし」の方程式をつくってしまったんです。

 

ではその方程式とは。

 

 

(期待×価値)/(衝動性×遅れ) 

 

・期待:確実性、確率。

・価値:得られるご褒美の大きさ

・衝動性:ご褒美を得られるまでの期間

・遅れ:時間的な遅れ。遅くなればなるほど(期待×価値)が少なくなる。

 

この方程式の解が大きければ大きいほど、その行動に対するモチベーションが高い、と表現されることになります。

方程式の出典は比較的有名なこちらから。

 

ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか

ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか

  • 作者: ピアーズ・スティール,池村千秋
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2012/06/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 2人 クリック: 4回
  • この商品を含むブログ (8件) を見る
 

 (当ブログはアフィリエイトは行っておりません)

 

この方程式にあてはめると、わたしたち発達障害・ADHDの仕事などの先延ばしの性質

がたいへんよく理解できます。

 

わたしたちは遺伝的、またはそれ以外の要因で「衝動性」が強いため、結果的に先の方程式における分母を定常的に大きくしてしまいます。

 

するといくらその重要な仕事を終えると確実にスッキリすることが目に見えていても、行動・仕事へのモチベーションは低いままです。

 

そのため仕事の「完了」のときに得られる快感にそれほど大きな違いがなければ、目先のちょっとした仕事の「完了」のほうが「遅れ」の値が圧倒的に小さくなるため、そちらの仕事へのモチベーションのほうが高くなってしまうんです。

 

 

これが発達障害・ADHDのわたしたちが苦しめられている、仕事の「先延ばし」メカニズムです。

 

 

余談ですが、この本では発達障害・ADHDように衝動性の強い人はより狩猟民族的な、すぐに食物の消化が終わってしまう人種、ともこの本には書かれています。

 

何らかのきっかけで、わたしたち人類が比較的近年にようやく獲得した高度な能力(たとえば前頭葉における行動の抑制機能や、消化器官での炭水化物の消化機能)が発現しない状態が、わたしたち発達障害(進化障害?)なのでしょうか。

 

おおっと、この点は別の記事で書いた「炭水化物(グルテン)を消化できない」タイプ、「ローカーボで症状が軽くなる」ADHD、「ADHDは狩猟民族の末裔説」とも重なります・・・何やらつながりのありそうな感じですが、そこは今日は深掘りせず、方程式にもっとフォーカスしてみましょう。

 

 

ADHDは「先延ばし」の方程式を解いて天職を仕事にする

本題に戻って、ではどうすればわたしたち発達障害・ADHDは目の前のやらなければならない仕事に対してモチベーションを高く維持できるようになるのでしょうか。

 

方程式で考えると、仕事のモチベーションを高めるために取れる策としては、

 

1.分母を小さくする

2.分子を大きくする

3.両方実行する

 

のどれかです。

 

ではまず1を検討します。

まだ根本原因が特定されていない(複数の要因が絡み合って症状が発現しているかもしれない)「衝動性」を少なくすることははっきり言って難しい。

ストラテラが効いてくれる人は多少その恩恵にあずかれるというところでしょうか。

 

そして「遅れ」について。

これは理論的には大きな仕事をできるだけ小さく区切って、そのひとつひとつのプロセスが完了したことに対して快感を得られれば、実現は可能です。

 

・・・ですが、たとえば大きなプロジェクトがあったとして、そのために必要なサービスや商品の見積もりを「依頼する」「選定する」「発注する」ことなどに対して個別に完了の快感を得られるでしょうか?

 

少なくとも私は無理でした。

つまり、分母を小さくするための努力は実行しづらいということです。

 

 

では続いて分子である「期待」と「価値」を大きくすることはできるのでしょうか?

 

この分子を言い換えると、「よりその幸福感が確実に訪れると信じられて・実際に終えたとき大きな幸福感が得られる」作業をやる、という意味になります。

 

 

ところでこの「ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか」では、13もの「先延ばし」改善戦略を提示しています。

たとえば、

・ゲーム感覚、目的意識を持つ

・情熱を燃やせる仕事をする

などなど。

 

これらを並べてみると、一部の時間管理的な戦略を除くとまさしく「天職」を仕事にしなさい、そうすれば「先延ばし」と縁が切れますよ、と書いていることがわかります。

 

たしかに自分が得意でやりとげる意味があると感じる仕事は、「先延ばし」とは無縁ですね。はい、そういうことなんです。

 

 

天職→時間を忘れる仕事。没頭できる仕事。フロー状態に入れる仕事。

 

たびたびこのブログで上記の解釈については触れていますが、つまり天職には自分の特性を生かせるだけでなく、なんと日々苦しめられている「先延ばし」も解決してくれるという願ったり叶ったりの効果があるんです。

 

つくづく、人間とはなんてうまく出来ているんでしょうか。。。今回も、そう思わざるを得ない分析結果ではないでしょうか。

 

 

なお天職・仕事探しについては下に引用したようにいくつか「仕事」カテゴリの記事で言及しています。

この記事とあわせて、みなさまのこれからの生き方について、何かのヒントになっていればとてもうれしいです。

 

 

 

 

【研究所長のひとこと】

ブログ開設から3か月目の今月は1日平均300人以上もの方に記事を読んで頂き、月間PVも2万ペースです。

同じような境遇で苦労をされているこのたいへん多くの方が、このブログに来て頂くことで少しでもこの先の人生を明るく感じていただけることを心底願っています。

 

また今日はこのブログを読んでメッセージを頂けた方に感想を伺う機会がありました。

お話を伺うとこちらが勉強させていただくことばかりで、ただただ感謝のひとことです。

 

このように有志のみなさまとはぜひ直接お会いして、今後の人生を切り開いていく仲間としてもやっていきたいと思っています。

 

・・・というとなんか重くてアレですが(笑

 

それなりに仕事をこなせる軽度発達障害ならではの生き辛いところ(収入問題・オープン/クローズ問題など)もありますし、団結してお互い得意な仕事を提供しあう可能性を模索するのもアリだと思うんですよね。

 

お会いした方とも話していましたが、「次の仕事」があるかどうかの不安は尽きませんし。

 

・・・すいません長くなりましたのでここで失礼します。

 

→「生き方」研究所の発達障害改善手順へ