発達障害の「生き方」研究所 | Hライフラボ

転職4回、うつで1年の休職歴あり。30歳を過ぎてADHD・アスペルガーまで発覚した人間が、妻と娘の育児のためにもがいた結果… 「生きづらさ」と戦いながらそこそこ稼ぐためのHライフラボ的・生き方3.0とは?

N-Workerという次世代型フリーランスのあり方に大人の発達障害者の希望を見た話

N-Workerという次世代型フリーランスと大人の生き方3.0

 

「みなさんこんにちは、スタイルチョイス、スターチョです!」

 

小田急線の南新宿駅近くにあるコワーキングスペース、YCS

その中にいる約50人の参加者の前の、特設ステージから響く元気な声。

 

イベント共催者の田島さんと、昼間の仕事を終えて駆け付けた番組アシスタントさんが、いかにも慣れた感じでしゃべりだしました。

 

 

今日は、フリーとしてポッドキャスト番組制作、プロデュースをされている田島一希さんと、ブログ「文系フリーランスって食べていけるの?」を執筆されている黒田悠介さん共催のイベント「次世代型フリーランス『N-Worker』の働き方」に参加。

 

現在N-Workerとして活躍されている、登壇者のみなさんのお話を伺ってきました。

 

 

 

引き続き「やりたいことをやっている人」がどうやってつくられるかの要素分析・研究のための取材でもあり。

 

 

こうした働き方を実践されている人のあり方をご紹介するためでもあります。

 

 

ちなみに最初の様子は、同時に行われた田島さんが配信されているポッドキャスト番組「20代に贈る、働き方が見つかる番組。『STYLE CHOICE スターチョ!』」公開収録の一幕です。

(今日の登壇者による、大変参考になるインタビュー全3回は来週水曜日頃から配信予定)

 

 

さていったい、「N-Worker」とはどんな働き方をしている人を指すことばなのでしょうか? 

 

※イベントの流れはグラフィックレコーディングにより記録されていました。

今日のご担当は、こうした通常のイベントだけでなく多数のグラフィックレコーディング勉強会でもご活躍中の小野奈津美さん。シンプルな絵と的確な構造化がされており、とてもわかりやすいです。

f:id:selfsupport:20161008232146j:plain

 

N-Workerという次世代型フリーランスの定義

まずイベントのはじめに、主催のお二人から簡単にN-Workerの定義についてお話がありました。

 

N-Workerとは、黒田さんと田島さんの造語だそうです。

 

フリーランスは通常、企業の目線に自分を合わせて、既存のニーズ、作業や業務を請け負って収入を得ています。アウトソーシング(仕事の外部委託)という発想に近いものがありますね。

 

それに対してN-Workerは、あくまで自分のやりたいこと・ミッションが軸になり、それをブレさせずに仕事をしていきます。

企業とも対応の立場で仕事をしますし、自分で事業を起こすくらいのこともしてしまいます。

ワクにはまらずに、実にイキイキと働いているという特徴があるそうです。

 

 

この両者の違いは、黒田さんが年間数百人のフリーランサーにインタビューした中で気が付いた、とのこと。

 

ちなみにN-Workerの「N」の意味を、イベントページから引用しておきます。

N-Workerはその特徴を表す言葉の頭文字から命名した名称です。

・Natural(自然体:仕事と人生を分けない)
・Neutral(中立的:組織に属さない)
・Nomadic(遊牧的:時間と場所に縛られない)
・Newtype(新型の:次世代型フリーランス)

 

 

 

わたしのブログでご提案している「大人の生き方3.0」との明確な違いは、N-Workerは「組織に属さない」ということを規定していることです。

生き方3.0は組織に属したほうが能力を発揮できる、ということもひとつの個性と考えますし、どんな環境で働くかについての規定はありません。

ただ「仕事と人生を分けない」の発想は同じで、参考にできる点はとても多いと考えています。

 

 

 

では実際に、N-Workerの代表として登壇される方々はどんな生き方をしているのでしょうか?

 

 

「自分史ノート3冊」起業エンジン阪井さん

まず 1人目は、「『起業エンジン』のつくり方。」というWEBサイトを運営し、起業コンサルをされている阪井裕樹さん。

 

請け負った仕事は100%達成(改善目標数値比)する実績をお持ちで、ノートPCとリュックだけで全国を回るフリーランサーです。

 

 

もともと阪井さんは、「たくさん稼ぎたい!」という意欲が非常に強かったそうです。

なんとかたくさん儲けるために、たくさんの転職を繰り返して、その結果1年に1回くらいの転職を重ね…

ある年のクリスマスに、クビになってしまったんだとか。 

 

そこから阪井さんは、就職活動のときに書いた自分史を中心に自分を見つめなおしました。

時間の関係もあり、このあたりの細かいいきさつは詳しくお話はなかったのですが。

おそらくこの出来事は、いままでの阪井さんの価値観を大きく変えるようなインパクトがあったのだと思います。

 

これ以降、「稼げそうなこと」ではなく、とにかく自分のやりたいことだけを地道に続けていったところ、徐々に共感してくれる人が増えて、現在のお仕事につながっていたそうです。

 

 

ザ・グローバルN-Worker高橋さん、フリーソムリエ浦川さん

2人目の登壇者は高校の頃から海外への交換留学を経験、アジア現地企業、戦略コンサル勤務などを経て、現在フリーランスとして活動をされている高橋ちえみさんです。

 

企業勤務は忙しすぎるので、というような理由でいまのスタイルになった高橋さん。

特に営業もせず、業務紹介ページも持たず、いまのところ人脈だけで仕事を続けているそうです。

いろいろな経験があるだけに、請け負ったことがある仕事が通訳・翻訳から在庫処分のようなものまで…幅広いのには驚きでした。

 

 

フリータイムになり、高橋さんと名刺交換をさせてもらいましたが、気になっていたいつもの質問をぶつけてみました。

 

高橋さんのお話を伺っている限り、海外へ留学したときに身につけた「働く」ということへの価値観と、日本での労働環境にあまりのGAPがあったことが、フリーランスとして働く情熱、エネルギーになっていると考えられたんですね。

 

つまり、自分が海外で身につけた「働く」ことに関する価値観、「生活を楽しむための仕事」という概念が、日本でも「そうあるべき」と思っていたのに、なかった。

 

こうしたとき、人間の情熱・天職エネルギーは、「自分が『あるべき』と思っている価値の創造・回復」に向かう傾向にあることがなんとなく言えるのでは、と過去記事でも分析してきているところです。

 

ということは、お話の中では語られていませんでしたが、日本に「生活を楽しむための仕事」という働き方を広めたい、という想いがあるのでは、と考えました。

 

 

上記のような仮説にあてはまるのかを確認するため、改めていまのスタイルの原点を高橋さんに伺ったところ、おおよその方向性としては同じような気持ちでお仕事をされていることがわかりました。

ただその範囲は日本に留まらず、世界中どこでもこだわりなく、「生活を楽しむための仕事」という発想を伝えていきたいとのことです。

 

 

 

そしてこの流れで進めてしまいますが、3人目の登壇者、フリーランスソムリエをされている浦川さんから伺ったお話にも、同じ仮説が当てはまりました。

 

浦川さんはフリーランスとしてソムリエの仕事をする傍ら、あるアプリを作るためにWEB系の会社でインターン扱いでお仕事をされています。

 

 

ソムリエでありながら、WEB屋としてインターンをしてまでのアプリ制作の情熱が発生したプロセスはこうです。

 

以前仕事をされていた星野リゾートで、ワインに強く興味を持った浦川さん。

ワインについて必要なことを調べようとインターネットで検索しましたが、浦川さんがWEBに本来「あるべき」と思っていた、正確なワインの情報がまとまっているようなデータベースがなかったんだそうです。

 

「あるべき」と思っていたものが、「なかった」

じゃあ自分でつくるしかない!

 

浦川さんは今日も、1日数百本のワイン試飲し、データベースづくりに励まれています。

 

 

大人の発達障害があってもN-Workerとしてイキイキ働く

現在、過去をふくめ、エネルギッシュに、人並みはずれた行動力と体力で活躍している起業家・芸術家ほかの著名人には、ほぼこうした「情熱発生メカニズム」に合った原体験があります。

 

わたしがこのサイトを始め、続けられたのもたぶん同じパターンです。

 

 

このメカニズムが発動するための条件には、大人の発達障害の特性の有無はまったく関係ないはずです。

このサイトがターゲットにしている、グレーゾーン・軽度の大人の発達障害がある人でも、十分に「N-Worker」になれる可能性はあると思います。

 

逆に、フリーにはならなくてもN-Workerと同じくらい情熱を持ってうちこめる仕事でないと、特性を抱えながら働いていくのは大変だと考えています。

 

 

このメカニズムを活用するために、何か好きなこと・興味のあることにできるだけたくさんの時間を使いつづけて、いろいろな人と会い、対話し、新しい経験を積んでいくこと。

これは確かに簡単ではないですよね。

 

 

ただ、合わない仕事に何とかついていくために、あまり好きでもない業務で工夫をし続けて、まわりに合わせて生きていく努力とどちらが楽かというと、どうでしょうか。

 

もちろん、WEB上や関連書籍にはそうした工夫でうまく乗り切っている人もたくさんいらっしゃいます。

ただわたしが前職で経験した限りでは、今後も厳しい環境にさらされ続ける一般雇用の中で、後者のような努力を続けて、周囲に合わせ続けることは本当に厳しい、と感じました。

実際に工夫をして周囲についていくことも努力を続けることもできず、残業時間とストレスが溜まり続けていくだけでした。

 

 

 

どちらにしても、最初の1歩を踏み出すことを決めて、動き続けていくことはわたしたちにしかできません。

 

このブログの記事が、日々の生活・仕事への工夫だけではつらさを乗り切れない人への、別のアプローチもありうるんだ、という希望になれればうれしいです。

 

 

・黒田悠介さんのブログ

文系フリーランスって 食べていけるの? – Medium

・田島一希さんのWEBサイト

Podcastプロデューサー 田島一希 の ~Podcast produce~ – 高音質でおすすめなポッドキャスト制作

・阪井裕樹さんのブログ

『起業エンジン』のつくり方。

 

 

 

さて以下、告知です!

 

顧問をさせていただいている、MESA(発達障害学生支援研究会)の第5回研究会が以下のとおり開催されます。

 

第5回研究会では、発達障害者が仕事をする上で気を付けたい法的リスクについて、弁護士の方からお話をお伺いします。 

 

いつもどおり講演のあとは交流会もご用意いただいていて私も参加予定ですので、お時間が合えばぜひお越しください!

(会場の都合で席には限りがあります。毎回直前に駆け込みで申込が増えますので、お申込みはお早めをおススメします)

 

 

日時:10月21日(金) 19:00~20:50

場所:明星大学 多摩都市モノレール「中央大学・明星大学」駅より徒歩5分

 

お申込み先URL(こくちーず):

第5回 MESA 発達障害学生就労支援研究会 2016年10月21日 - こくちーずプロ(告知'sプロ)

 

 

 

さらに!

 

11/2(水)には、ジョブセンター川越さまで講演をさせていただきます。

お問合せ・お申し込み方法は下記URL内をご参照ください。

【ジョブセンター川越】<11/2開催>第8回就職セミナー「発達障害の自分の育て方」のお知らせ

 

 

***<ファーストシーズン「大人の発達障害改善のヒント」全78記事の目次はこちら>***

 

 

→「生き方」研究所の発達障害改善記事一覧へ

 

※ブログ更新情報は、「読者になる」からはてなのアカウントを登録いただくか、Twitterをフォローしていただければお送りできます。